生物多様性とは?
生物多様性とは、「生き物の種類の多さ」や「生き物同士の繋がり」を示す言葉である。
地球上の生き物たちは、40億年という長い歴史の中で様々な進化を遂げてきた。
これらの多様な生き物たちはすべて、直接的また間接的に関わり合っており、個々の生物種が重要な役割を果たしている。
3つのレベルの生物多様性
生物多様性条約において、生物多様性には3つのレベルの多様性があるとしている。
一つ目は、生態系の多様性。生態系の多様性とは、森林や河川、干潟やサンゴ礁といった多様な自然の空間(ビオトープ)が存在することをいう。これらの自然空間は、一つの生態系として捉えることができ、それぞれが関係しあっている。
二つ目は、種の多様性。種の多様性とは、動物や植物、菌類、細菌類まで、様々な生き物が存在していることをいう。すべての動植物たちは食う食われるの関係にあり、一つの種が欠けることにより、その種を利用していた種のみならず多くの種に影響が及ぶ。これにより生態系全体が崩壊する恐れもある。地球上には3000万種の生物が存在していると言われている。
三つ目は、遺伝子の多様性。遺伝子の多様性には同じ種であっても形や模様、生態などが個体によってそれぞれ違う。わかりやすい例で言うと、私たちヒトも誰一人同じ顔の人はいないし、それぞれに違った性格を持っている。
生態系の多様性
森林、里地里山、河川、湿原、干潟、サンゴ礁など様々なタイプの自然の空間が存在すること。
種の多様性
動植物から微生物まで、様々な種類の生き物が存在していること。
遺伝子の多様性
同じ種でも異なる遺伝子を持っていて、個体によって形や模様、生態などに多様な個性があること。
生物多様性の重要性
私たちにとって生物多様性はなぜ重要なのか、なぜ生物多様性を守らなくてはいけないのか?
それは結論を言うと、「私たち人間が生活していくため」である。
前述した通り、生物はすべての種が関わり合って生きており、一つでも欠けてしまうと生態系の崩壊につながる恐れがある。
私たち人間は生態系から多くの恩恵を受けて生活している。それも多岐に渡り、食糧や水、酸素など生きるために直接的に必要なものや気温・湿度の調節や災害の軽減など環境の調整、さらにはレクリエーションや観光と言った学びや休養、コミュニケーションの場をも享受している。
これら自然からの恩恵を生態系サービスといい、生態系が崩壊すればこれらのサービスは提供されなくなる。
生態系サービスを受けられなくなると私たちの生活は危ぶまれてる事になるのだ。
生態系サービス
生態系サービスは主に4つに分類される。
基盤サービス(栄養塩の循環、土壌形成など)
これはすべてのサービスの基礎であり、基盤サービスがなければすべてのサービスは得られなくなると考えてよい。
基盤サービスには栄養塩の循環が挙げられる。栄養塩とは植物プランクトンが成長するための栄養素である硝酸塩、リン酸塩、珪酸塩など無機塩類のことである。栄養塩が多すぎても少なすぎても生態系が崩れる原因になるのだ。栄養塩の供給が安定することにより、私たちは豊かな海の幸を得ることができている。
土壌形成も基盤サービスの一つであり、動植物の死骸などといった有機物を菌類・細菌類などが分解して無機物にする事により豊かな土壌を形成している。また、無機物は植物が生長の過程で 必要とし、光エネルギーを利用し光合成を行うことで有機物の生成(植物体の生長)や酸素の生成も行う。
供給サービス(食糧、水、木材、繊維、燃料)
肉や魚、野菜といった食糧や水、家などを建てるために使う木材、綿や麻、絹など衣服に用いられる繊維など、衣食住に必要なものが挙げられ、私たちの生活の中で一番身近なものと言えるだろう。他にも医薬品、燃料などが挙げられる。
調整サービス(気候調整や洪水制御、水の浄化)
人間の生活を安全で快適なものにするサービスである。例えば気温や湿度といった気候の調整や洪水や津波など自然災害の軽減、水の浄化などが挙げられる。
近年、世界各地で相次いでいる異常気象はCO2の異常排出や森林の大量伐採などにより、調整機能がストップしつつあると断言せざるおえない。
文化的サービス(審美的、精神的、教育的、レクリエーション)
人の心を休めたり、豊かにする精神的安定に関わるサービス。森林浴などの休養、キャンプや登山、バードウオッチングといったレクリエーション。自然から創造された文化的な行事や芸術などが当てはまる。また、環境教育の場として知識や体験を提供してくれる。
近年では、地域活性化や環境保全活動の一環として、旅行を通して地域の自然や文化について理解を深めるエコツーリズムが注目されている。
これらを含め、文化的サービスは人と人とのコミニュケーションの場としての役割も果たしている。
基盤サービス
栄養塩の循環や土壌の形成、酸素の生成など、生態系において基礎になるサービス
供給サービス
食糧、水、木材、繊維など私たちの生活に欠かせないサービス
調整サービス
気候の安定、災害の軽減など私たちが安全で快適に暮らすためのサービス
文化的サービス
休養、レクリエーション、環境教育など、心理的安定や学習、コミュニケーションの場を提供するサービス
「生物多様性とは②」へつづく
参考文献・webサイト
環境省:生物多様性とはなにか
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/about.html#:~:text=%E3%80%82
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