森林環境税

森林環境税とは

森林環境税とは、2024年度から国内に住所のある個人に対して課税される国税である。市町村において1人年額1000円が個人住民税均等割併せて徴収、要するに個人住民税に1000円が上乗せされる形になる。この税収の全額が国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されるというもの。

森林環境税創設の経緯
森林は様々な機能を有しており、国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全など多岐にわたる。私たちの生活はこれらの機能によって支えられている。しかし、林業者等の担い手不足により森林管理が追いつかないことや放置された所有者不明の森林が増え、森林管理が十分にい行き届いでいないのが現状である。

また、2020年以降の温室効果ガス排出削減など気候変動問題解決のための新たな枠組みであるパリ協定が2015年に気候変動枠組条約第21回会議(COP21)で採択された。このパリ協定の目標達成に向け、地方財源を安定的に確保する必要がある。

これらの事情により森林環境税・森林環境譲与税が創設された。森林環境譲与税に関しては、森林整備が緊急の課題であることから2019年度から前倒しで譲与されている。

※以前から都道府県での森林に関する独自課税は存在。2007年1月時点ではすでに16県が導入していた。

森林環境税の使い道

では私たちが税金として払うことになる森林環境税はどのように使われるのか?

森林環境譲与税は、市町村においては、「森林整備及びその促進に関する費用」に、都道府県においては、「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に当てることとされています。(総務省)

国では使い道をこのように明記している。

私たちが支払う森林環境税は税収されたのち、森林環境譲与税として都道府県・市町村に受け渡される。市町村は森林環境譲与税を森林整備の促進等の活動にあて、都道府県はその活動を行う市町村の支援等に使うこととされている。

都道府県・市町村は、森林環境譲与税をどのような活動に使用したのか、使い道をインターネット等で公表しなければならないという決まりがある。

具体的な活用例

・木質バイオマスを利用した道路湯節の実施(青森県西目屋村)
・5市町村による森林経営管理制度に基づく森林整備の実施(長野県大町市、池田町、白馬村、松川村、小谷村)
・林業研修制度による担い手の確保(高知県仁淀川町)
・スケートボードセクションの製作を通じた青少年への木育啓発学習(兵庫県尼崎市)
・航空レーザー測量等を活用した森林の境界明確化(鳥取県鳥取市)

上記の例は総務省のHPで公開されているものであり、森林整備や森林の有効活用への様々なアプローチが見られる。このような活動が各市町村で持続的に行われれば、活動が地域に定着し次世代への継続も期待できるだろう。また活動をきっかけに多くのアイデアが生まれ、新たなビジネスのきっかけにつながることも期待できる。そう考えるとこの森林環境税の可能性は大きく広がるのではないだろうか。

 

参考文献・Webサイト

総務省HP 地方税制度|森林環境税及び森林環境譲与税

森林環境税とは,市町村へ譲与されます%E3%80%82

林野庁HP 森林環境税及び森林環境譲与税
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/kankyouzei_jouyozei.html

今若慎太郎・佐藤宣子 2008「森林環境税」による新たな森林整備に関する研究 九州大学農学部演習林報告 89号 p75ー126

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