みなさんこんにちは!MUSHI-KUNです^^
2025年一発目の投稿になります。新年明けましておめでとうございます!🎍
今年もよろしくお願いしますね🤗
1ヶ月ほど前の話ですが、12月の初旬ごろに愛知県西尾市の東幡豆町にある東幡豆海岸を訪れました。なぜこの海岸に来たのか。それはこの海岸が生物学的・生態学的に非常に重要な場所だから!です!
というのも私は学生時代、海洋系の大学で海洋保全や沿岸域管理に関する研究をしていたので、今でも海を保全する上で重要な海岸があるとつい行ってみたくなるのです。あとこういう場所は色々な生き物いるので生き物好きにはたまりませんね^^
では東幡豆海岸がどんな海岸どんな海岸なのかは追々説明しましょう。
三河湾に浮かぶ前島!
東幡豆海岸がなぜ生物学的・生態学的に重要な海岸なのか?その秘密は三河湾に浮かぶ一つの小さな島にあります。この島は「前島」という周囲800mほどの小さな無人島です。この前島は海岸から600mほどのところにあり、この島があることで海岸と島の間に多くの生物の生息場である干潟ができるのです。
島がもたらすトンボロ現象
前島があることによって島と海岸の間に干潟ができるということですが、これはこの前島に特別な力があるとかそんなことではありません。海岸の近くに島があると干潟ができるというメカニズムはとても単純です。
沖合から来た波は島が正面を遮断するので島の両側に回り込みます。回り込んだ波は島の反対=海岸側でぶつかり合い、このとき波に運ばれてきた泥や砂が陸地と島の間に堆積し干潮時に陸地となる干潟ができるのです。このような現象を「トンボロ現象」と言います。地元の人たちはこのトンボロ現象によってできた干潟を「トンボロ干潟」と呼んで親しんでいます。
このトンボロ現象は東幡豆海岸だけでなく、西伊豆の堂ヶ島や湘南江ノ島などで見つことができます。ただこのトンボロ現象は365日いつでも見れるということではなく潮の満ち引きが関係しており、大潮の干潮時など条件が良くないと見ることができません。
干潟に入れるのは潮干狩りの時期だけ!
私が訪れた時は条件が合わずトンボロ現象を見ることはできませんでした。そもそもこの時期は柵が閉まっていて中に入れない模様。調べると現在トンボロ干潟が開放されているのは潮干狩りの時期(3〜8月)だけのようです。
トンボロ干潟に入るには一人300円かかるようです。
環境整備協力金とのことで、この干潟や前島の管理費用となっているようです。東幡豆漁業協同組合では生物多様性に関する環境養育や取り組みを積極的に行っているということなので、きっと干潟の生き物たちを守る活動にも使われているのでしょう。
トンボロ干潟は生物多様性の宝庫!?
東幡豆海岸のトンボロ干潟は生物多様性の宝庫と言っても過言ではないでしょう。トンボロ干潟が生物多様性の宝庫というよりはトンボロ現象によって作り出された「干潟」という環境が多くの生き物たちにとって住みやすい環境であり、いわゆる生物多様性の高い環境なのです。経済成長期を経て現在では干潟の多くが埋め立てられてしまいました。東京湾や大阪湾の干潟はほとんど残っていないと言った状況なのです。こうした状況の中、トンボロ干潟のような数少ない干潟は生き物にとって非常に重要な場所です。
干潟は波が穏やかで生き物の餌となるプランクトンが溜まりやすいほか、細かい砂が堆積しやすいため、砂に潜って生活するゴカイや二枚貝、カニなどの生息場になります。これらの生き物を捕食する魚や水鳥の餌場にもなっています。また、干潟周辺の沖合(干潮でも陸地にならない場所)ではアマモやアラメ・カジメなどが生える「藻場」があり、この藻場が魚を始めとする生き物の産卵場や稚魚など小さな生き物の生育場になっています。
前島市場
海岸を歩いていると前島市場という看板が。カフェ的なものもありました。看板には、「毎月第4木曜」と「次回12月26日開催」という文字が!ちょっと廃れているように見えたので、もう営業していないか、潮干狩りの時期だけやっているものだと思いましたが、どうやら毎月1日だけやっている模様。調べてみると、ちょうど一年前の2024年1月から始まったばかりのようです!前島市場ではクラフトギャラリーや地元の物販マーケット、オーガニック自家製珈琲を提供するカフェなどがあるそうです。
次は市場が開催しているときに来てみたいです^^
潮干狩りのシーズン以外は全面禁漁!?
冷たい風が吹く中、前島の正面を起点に海岸の東側散歩していると一際目立つ看板が!よく見ると「アサリ養殖中です その他魚介類も採取することを…」その下は板が割れているいます。おそらく採取することを禁止します的なことが書いてあるのでしょう。
そう、東幡豆海岸はアサリの産地なのです。先ほども触れたようにトンボロ現象により作り出された干潟やその周辺の環境ははアサリを始めとする二枚貝の生育に適しています。そのため昔からアサリがこの海岸の主要な水産資源として利用されているのです。アサリは漁以外に一般人による潮干狩りもあり漁獲圧が高いため、自然繁殖だけでは資源が減少するので、おそらく種苗放流(稚貝蒔く)をして大きく成長してから漁獲する栽培漁業によって漁獲量を維持しているのでしょう。
漁期期間以外は稚貝育成のため禁漁期(一時的な禁漁区)を設けているようです。これは県が禁漁期などの規則を設けていなければ、漁業者(漁協)が自らが自主的に禁漁期・禁漁区(自主的海洋保護区)を設けており、アサリの漁獲量が維持・向上するよう水産資源管理を実施しているのだと思われます。
漁師さんたちの努力によって私たちは美味しいアサリが食べれたり、潮干狩りを楽しむことができるんですね^^
生き物を発見!
階段のようになっている護岸の少し窪んだ部分に小さな潮溜まりができていました。そこに今日初めての海の生き物が。そこにいたのはイソギンチャクでした^^おそらく干潟や磯などで普通に目にできるヨロイイソギンチャクの仲間だと思います。
今回は干潟が出てないタイミングだったことに加え、禁漁期間でトンボロ干潟に入れないということもあり、生き物に出会えないかと思っていましたがここで出会えてよかったです^^
時期になったら潮干狩りにも来てみたいと思います!
それでは今日はこの辺で!✋
参考文献
・石川・吉川(2016)幡豆の海と人びと 東海大学海洋学部 総合地球環境学研究所
・石川・仁木・吉川編(2016)幡豆の干潟検索ガイドブック 総合地球環境学研究所
・一般社団法人西尾市観光協会 西尾市東幡豆のトンボロ干潟 西尾観光
https://nishiokanko.com/list/special/tonboro/
・前島市場 Instagram
https://www.instagram.com/maeshimatonboro/